LA GALERIE DES NAKAMURA

横尾香央留「カコヲカコウ」

Kaoru Yokoo Solo Exhibition

横尾香央留 "カコヲカコウ"

2017年9月16日(土)から10月9日(月曜・祭日)12:00ー18:00 / 火・水曜日休み

このたび、ラ・ガルリ・デ・ナカムラでは 9月16日(土)から10月9日(月曜・祭日)まで
横尾香央留の個展「カコヲカコウ」を開催する運びとなりました。

近年、手芸とアートの距離はぐっと接近し、ハンドステッチやニッティングによって生み出される作品は
世界のアートシーンでますます重要視されるようになりました。 それはテクノロジーが進化する現代社会で、
ハンドメイドの親しみやすさやヒューマニズムが原点回帰として信頼され、強く歓迎されていることを意味しているでしょう。
そして手仕事の未来は過去と現在を積み重ね、テクノロジーと表裏一体、面白く進化を続けています。

ラ・ガルリ・デ・ナカムラでは、針や糸など手芸的な要素を用いて、多岐にわたり独自のスタンスで活動している
作家、横尾香央留の作品をご紹介します。 横尾の作品は、ものごとに備わる関係性に対して、手芸を通したウィットに富む発想で
視点の変化を表現しているのが特徴です。 編む・縫うという手法で紡がれる繊細な造形には、過度に大げさな重たさはなく、
可愛らしさやコミカルな魅力に溢れながら、リレーションの実験性も感じさせ、私達の心のあり方を柔らかく揺さぶり、
今を見つめ直すきっかけを与えてくれます。 とりわけ、初期から取り組んでいる「お直し」の行為は、彼女らしさを象徴する稀有な活動です。
彼女は、依頼主から預かるダメージを受けた服をただ復元するのではなく、持ち主と服の愛着関係へ思慮深くアプローチし、
小さなほころびへ想像力を豊かに解き放ち、未来へ繋ぐ物語に仕上げます。 ほつれは一層目立たされ、穴のあいた花柄の布には成長した
色とりどりの花が咲き誇り、汚れやシミの痕跡は必然性を想起させる美しい刺繍装飾へと転換。 フラジャイルだった服はたちまち彼女の
然りげなく確かな手仕事を経て洗練され、新たな意味を持ち、世界にひとつだけの存在として再び命を吹き返します。
インタラクション性と高い技術、優しい作風が結実したユニークな「お直し」は、多くの人の概念を刷新し、心を浮き立たせ、
再生の幸福な新しいスタイルを確立しました。
彼女の創作活動は主に生活圏の中で行われます。 2013年にはフィンランドのカルストゥラへ滞在し、小さな町の人々の日常着をお直し
しながら生活しました。その際にお直しをした服は2014年に水戸芸術館・丸亀市猪熊弦一郎現代美術館にて行われた展覧会
「拡張するファッション」で発表され、ファッションモードの流行における価値観の見直しとして大きく注目されました。
また、カルストゥラの現地の人々との交流や制作思考の記録は書籍化もされており、そこには手先は器用だけれど人見知りなヒューマニティが
織りなすユーモラスな日々がテンポ良く綴られています。 彼女の言葉には創作の根本となる仔細な観察力や鋭い分析力が見え隠れしながら
どこか温もりも感じられ深く心に残ります。

本展では、手紙・本・ビデオテープ・服など、横尾自身の日常に長時間密接したマテリアルの集積にイメージを深め、
記憶と対話しながら自由な着想で即興的に表現化を試みた作品を発表します。
彼女の手により加工された多種多様なモノは、起点の印象を離れ、ファンタジックな存在感で空間に立ちあがり、
鑑賞者に時を経ても色褪せないエッセンスとの新鮮な出会いをもたらしてくれるでしょう。
ぜひこの機会にご高覧賜りますれば幸甚に存じます。